高配当株ポートフォリオ艦隊☆司令長官の奮戦記

配当再投資戦略で資産形成を目指すサラリーマン投資家の手記

株式市場の波について

 わが家計の高配当株ポートフォリオ艦隊は、豊かな老後へと針路をとって、株式市場の荒波の中を航行中である。


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 諸君らの中には、市場の波が気になって任務に集中できない、よく眠れないという者もいるだろう。だが心配することはない。わが艦隊は日米が誇る超優良銘柄のみで構成されているから、一隻たりとも沈没の恐れはない。


 不沈艦隊の乗組員である諸君らの任務は、もらった配当金を航海日誌に記録していくことである。あとは、受領日、銘柄、金額がびっしり並んだノートを眺めてニヤニヤしているがよい。・・・そして、現金が20万円ほど貯まったところで、優良株式の買い増しを行い、より強く逞しくなったわが艦隊の威風堂々たる雄姿を眺めて感激の涙を流し、明日からも果てしなく続く航海への決意を新たにするのだ。


 これが、わが艦隊が誇る、絶対不敗の高配当再投資戦略である。


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 さて、わが艦隊から遥か遠く、嵐の真っただ中で大荒れの海域を、イワシの群れのごとき小さな船の大群が漂っているのが見えるだろうか。


 彼らが目指しているのは、嵐の海に気まぐれに出現すると言い伝えられる、幻の宝島である。彼らは、猛り狂う荒波によってもっと高く、もっと遠くへ運んでもらえるように、できるだけ船体を軽くしている。要するにタンポポの綿毛なのである。


 運の良い者は一瞬にして宝島へと到達し、わが艦隊の100年分に匹敵するような財宝を手に入れる。だが、大抵の者は帰路で再び嵐に遭遇して海の藻屑と消えるのである。


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 株式投資の本来の姿は、富を持っている者(委託者)が信頼できる企業(受託者)に資金を提供して、その見返りとして、企業が稼いだ利益から配当金を頂くというものである。わが高配当株ポートフォリオ艦隊はこの基本を忠実に守っている。


 株式市場は、この株主の地位を売買できるようにして、株式投資への参入・撤退を容易ならしめるために存在している。売り手と買い手が集まるのだから、当然、需要と供給のバランスにより取引価格は変動することになる。この市場での売却益を求めて、小さな船は幻の宝島を目指して旅をする。


 わが艦隊の立場から見ると、このキャピタルゲイン狙いの投資というのは、本来の株式投資から派生的に生じた市場において、その時々の値動きを利用して富を築こうという、きわめて特殊なやり方であるといえる。わが国では、この特殊なやり方が、株式投資の一般的なイメージとして定着している。


 一般的にギャンブルというのは、最初はビギナーズラックで勝って、次も勝って、その次も勝って、いよいよこれは天職だと思った矢先に大失敗して、これまでの勝利の蓄積をすべて失うという悲劇である。だが、ごく稀に、このゲームに勝ち続けて億万長者に成り上がる人間がいる。私の想像だが、人間も生物だから個体差があって、彼らの脳は普通の人間には知覚できない何かが見えたり聞こえたりするという特質を持っているのかもしれない。


 短期売買は、そのような特殊な人間が特殊なゲームで勝って富を築く世界なのだと思う。わが家計の艦隊を預かる司令長官としては、このような世界へといざなう波は相手にせず、ただひたすら、豊かな老後に向かって長き旅を続けるのみである。人生で成功する秘訣は、何か特別なことにチャレンジすることではなく、忙しい日々の中で忘れてしまう基本中の基本に立ち戻ることなのかもしれない。