高配当株ポートフォリオ艦隊☆司令長官の奮戦記

配当再投資戦略で資産形成を目指すサラリーマン投資家の手記

スルガ銀行への投資

 スルガ銀行の株価は今年1月から真っ逆さまに暴落して、今年の最高値2,569円(18/1/10)だったのが本日終値では491円、下落率は80%という酷い有様である。配当利回りは4%超となり、なかなか魅力的に見えたりもする。出来高の急増からは、一攫千金を狙って投機に走る者が続出していることが伺える。


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 さて、この事案の経緯を簡単にまとめてみよう。


 スマートライフという会社が、「かぼちゃの馬車」という女性専用シェアハウスの運営を行っていた。同社はこのシェアハウスを1棟まるごと投資家に販売したうえで、オーナーとなった投資家から「30年一括」で借り上げて全室の家賃を支払う。オーナーにとっては、たとえ空き室が出たとしても、スマートライフが全室の家賃を30年間払ってくれる、利益が保証された美味しい投資物件というわけだ。700人ともいわれるサラリーマンなどの投資家が、スルガ銀行から1億円も2億円も借金して、このシェアハウスを購入したのであった。


 しかし、このビジネスモデルは上手くはいかなかった。というより確信犯だったのかもしれない。オーナーが受け取る家賃の原資は、シェアハウス入居者が支払った家賃でなければならないが、実際の入居率は非常に低く、スマートライフは新たな物件販売で得た金をオーナーへの家賃保証に充てるという自転車操業をしていたらしい。とうとうスマートライフは金が尽きたのか、オーナーへの家賃の支払いは停止されたのであった。オーナーたちには、空室だらけのシェアハウスと、莫大な借金が残された。


 ここで、オーナーたちに金を貸していたスルガ銀行が、借主の資産残高や収入金額を改竄して、実際より経済力があるように見せかけ、本来なら許可されない融資をどんどん実行していたという実態が暴かれた。スルガ銀行は窮地に陥り、株価は奈落の底まで落ちていった・・・


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 司令長官として、この件には関して考えを述べておきたいと思う。


 まず、わが艦隊は、スルガ銀行の株がいくら安くなっても一切買わない。なぜなら、今後どうなるか全く分からないからである。危険なものには手を出すべきではない。とはいえ、配当利回りも高いし、短期的には株価が乱高下してキャピタルゲインが狙えるかもしれない。これが5万円で買えるのだから、悪くないのではないか?
 その答えは、バフェット太郎氏の著書『バカでも稼げる米国株高配当投資』に明確に書かれている。投資で大事なのは、安心して大金を預けられる企業を見つけることである。たった5万円しか投資できないのであれば、奇跡的に株価が2倍になったとしても、たいした利益にはならない。そのような奇策を打っても大した戦果が挙がらないことは明白であるから、私は何も考えずにコカ・コーラやP&Gなどの米国優良株のコツコツ買いを継続するべきであると思う。


 もうひとつ、日本人のマネーリテラシーの低さに慄然とする。


・この人口減少社会、空き家問題が言われはじめているご時世に、何億円も出して新しい住宅をまとめ買いするのが危険だということは、ちょっとばかり理性を働かせれば気付けるだろう。また、女性専用シェアハウスなので、入居者は若くて金のない女性になるわけだが、そのような物件が高収益になるはずがない。


・なぜ、社会的に高い信用のある企業ではなく、誰も知らないような無名の業者に飛びついていくのだろうか。ブランドが確立した企業から発せられるメッセージは、常にどこか聞き飽きたような響きを持っているのに対して、新参者たちは言葉巧みに聞き手の好奇心を刺激してくる。目利きができない者は引っかかってしまう。


 私は、騙された方が悪いと言っているわけではない。おそらくこれは詐欺だろうから、被害を受けたオーナーたちは救済されるべきだろう。資本主義の残酷さはフェアプレイで行われるべきであり、投資家が詐欺被害で転落するようなことがあってはならない。私が言いたいのは、日本人の間に金融知識が全く浸透していないということだ。将来の利益を約束してくれるフィリップモリス、コカ・コーラ、P&G、エクソンモービルなどの米国優良企業には見向きもせず、よく分からないシェアハウス投資に一直線に走っていく人々が大勢いるこの国の現状は憂うべきものがある。


 人々が資本主義のルールを理解して、正しい意思決定ができるよう教育することも、この艦隊司令官である私の使命である。