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金融政策決定会合における主な意見(2018 年 9 月 18、19 日開催分)

 日本銀行は、金融政策の方針を決める会合(金融政策決定会合)を年8回実施している。そこでの決定内容、主な意見は、日銀ホームページで後日公表されるので、私たちはそれを見ることができる。


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 つい先日、9/18~19にかけて行われた金融政策決定会合の主な意見が公表されたので、諸君と一緒に見ていきたい。


今回の決定会合の要旨は以下のとおりで、これまでの方針を継続するというものだ。


✔ わが国の景気の現状について「所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している」という認識のもと
✔ 物価上昇率2%の「物価安定の目標」の実現を目指して、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」 を継続する


その議論なかで、審議委員たちが述べた主な意見(私のチョイスで抜粋)を見ていこう。有識者がどのような見解を持っているのか興味深いところである。


まず冒頭で紹介された意見から。

(経済情勢)

わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。先行きも、きわめて緩和的な金融環境や政府支出による下支えなどを背景に、景気の拡大が続くとみられる。

(物価)

消費者物価の前年比は、マクロ的な需給ギャップがプラスの状態を続けることや中長期的な予想物価上昇率が高まることなどを背景に、2%に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えられ る。

日銀は、いまの日本経済・物価に対しては前向きな見方をしている。
その一方で、米中の貿易摩擦や金融市場についてはリスクには要注意とのこと。

世界経済のリスクバランスに関しては、米国や中国などの通商摩擦や金融市場の変動による下振れリスクの増大が、現在もなお続いているとみている。


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この他、個人的に興味深かった意見を紹介しよう。

効果的に成長を実現する手段は、利益が上がらない仕事を止めることであるが、これには雇用の問題が生じるため、金融緩和で労働需給を逼迫させることが成長に結びつく。(後略)

金融緩和→景気UP→労働需要UP という経路は、事業構造の転換にともなう痛みを和らげる受け皿にもなるというわけか。金融緩和にはそのような効果もあるのか。(へぇ~)


少子高齢化等の人口動態や労働生産性の動向等と相俟って、自然利子率には先行き低下圧力がかかることが想定される。技術革新の一層の推進により自然利子率を下支えしていくことが重 要である。

少子高齢化(需要減)、労働生産性の向上(供給増)はデフレ圧力である。仕事を効率化すればするほどデフレになるという皮肉。


就業率の上昇と効果の大きい合理化投資に限界がある以上、人手不足は賃金上昇に結びつく。最近の統計上の賃金上昇は過大 とされているが、賃金上昇や雇用の拡大は、両者を掛け合わせ た雇用者所得の拡大をもたらし、需要とコスト上昇の両面から 物価を引き上げていく。

一方で、労働生産性の向上には限界があり、いずれは人手不足が賃金上昇に結び付き、物価を引き上げていくという見方。家計が苦しいので早くそうなってくれ。


物価上昇の遅れは、単純な需要不足ではなく、根強いデフレマインドに加え、供給面の拡大による生産性向上など様々な要因 に影響を受けることが判ってきており、先行きの物価を巡る不 確実性は一頃より高まっている。 

この「根強いデフレマインド」が一番やっかいだ。


会社では、交際費などの経費を惜しむ、投資決定の際にも必要以上に慎重になる、仕事量が多いのに残業を減らそうとする。


家計では、主婦が少しでも安く買い物をするために店をはしごする、新品よりも安い中古品を好む、自治会費がちょっと高いとブーブー文句を言う。


このような日本人の思考に染み付いた考え方がデフレマインドなのだと、個人的には思う。私たち一人ひとりが、もうちょっと明るくなることが大切なのだろう。 


インターネットやスマートフォンの普及は、必要な情報収集を可能にし、高齢者の就労を促進する効果を持つと考えられる。 賃金弾力性の高い労働力の供給が続けば、賃金上昇の抑制要因 となることも考えられるため、その動向を注視している。

インターネットが、高齢者就労の需要と供給をマッチさせてしまい、若者にとってはイージーな副業が減ってしまう。


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 次回の金融政策決定会合は、10月30日(火)・31日(水)に予定されている。この国に健全なインフレがもたらされることを願う。