高配当株ポートフォリオ艦隊☆司令長官の奮戦記

配当再投資戦略で資産形成を目指すサラリーマン投資家の手記

尊敬される老人

 わが家計の高配当株ポートフォリオ艦隊は、豊かな老後へ向けて針路をとり、株式市場の荒波の中を航行中である。


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 「敬老の日」は、「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」ことを趣旨とする国民の祝日であるが、超高齢化社会を目の前にして、「老人を尊敬する」という昔ながらの価値観は揺らいできているようだ。


 昔は老人になるまで生きられるのは一握りの選ばれた個体であったが、食事や医療が進歩したおかげで、今では誰でも彼でもめでたく老人になることができる。一方で若者の数はどんどん減っているのだから、経済の法則によれば、老人の相対的な価値が落ちるのは当然のことであろう。


 また、世の中は慌ただしく変化しているから、知識や価値観をアップデートできない古い人間は社会的に必要とされなくなる。そして、この人々を養うための負担が下の世代にのしかかっているのだから(サラリーマンはお手元の給料明細を参照されたい)、とても尊敬する気持ちにはなれないだろう。


 私はとんでもなく親不孝な発言をしているようだが、これが少子高齢化を放置し続けてきた社会の末路なのである。


 これからの時代、老人が尊敬されるのはなかなか難しくなってきそうだ。


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 さて、私は人生の最後で「老害」「ジジババ」と罵られるのは御免なので、「尊敬される老人」になるためには、どのように生きればよいかを必死に考えてみた。そしてたどり着いた答えが、「時間を味方につける生き方」を身に付けることである。


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 ここで、一人の男に登場してもらおう。彼はサラリーマンとして仕事に生きて、会社ではそれなりの地位を与えられている。得意先の接待経験が豊富で、知る人ぞ知る美味しい居酒屋を知っているし、いろんなスナックにも顔が利くし、ゴルフも上手い。上司や同僚、部下からの信頼はとても厚い。サラリーマンの最強形態である。この会社組織におけるティラノサウルスは、彼を慕う部下たちに祝福されながら、65歳で定年退職した。


 それから15年が過ぎ、80歳になった彼は元気にしているだろうか。
「昔はなぁ、ここに上手い焼き肉屋があったんだよ。」「俺はなぁ、現役の時には部下が何十人もいたんだよ」「会社で一番ゴルフが上手かった。コンペで何回も優勝したよ」


 そこには、過去に生きる物悲しい老人の姿があった。


 彼に足りなかったのは「時間を味方につける生き方」である。会社で培った能力や人間関係は、普通は退職した途端に失われてしまう。歳を重ねて体力が落ちたら、美味しいお店に行くことも、ゴルフで優勝することもできなくなってしまう。彼が人生で手に入れてきたのは、すべて時間とともに流れ去るものだったのである。


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 私たちは、今のうちから「時間を味方につける生き方」を身に付けなければならない。時間の経過に伴って価値を増していく何かに、私たちは出会わなければならない。例えば、「死ぬまで続けられる仕事」「自然との触れ合い」「地域コミュニティでの活動」「芸術活動」などは、時の流れに負けないものだろう。


 だが、時の流れが最も威力を発揮するものは、高配当再投資戦略である。


 優良企業の株式を長期保有し、配当金の再投資をひたすら繰り返すのである。このやり方で富を築くのには時間がかかる。だが、時間をかければ必ず富を築くことができる。このやり方の正しさを証明できるのは老人だけである。この道での勝者は長生きした者である。70歳より80歳、80歳より90歳、90歳より100歳・・・。エクセルで複利計算をしてみると、今は豆粒のような資産でも、配当再投資を繰り返せば、100歳になる頃には爆発的な資産になることが分かるだろう。


 配当再投資戦略で資産を築き上げた老人の話を、若者たちは興奮しながら聴くことだろう。人生100年時代、私は、配当を再投資しながらコツコツ生きていきたいと思う。


※もちろん、サラリーマンとしてしっかり仕事をしたうえでの話である。